ふぁーみんぐ通信03年09月号


 人間国宝プロジェクトがついにはじまる! 
〜日本文化再発見の巻〜





●黄金の国ジパングはここからはじまった♪

2000年夏、麻の茎から手作業で繊維を取り出す工程をみてとても感動した。黄金に
輝く繊維が目の前にあった。その繊維は、昔ながらの手作業でおじいさんとおばあ
さんたちの技術によって生み出されていた。昔、マルコポーロが東方見聞録で黄金
の国「ジパング」といった記述があるが、その理由は

@金閣寺に代表されるように当時の日本は金の産出国だった
A秋の収穫時期に黄金色に輝く稲穂が野原一面に見られた

と一般的にいわれているが、3番目の理由として

B農家の軒先に金色に輝く麻の繊維(精麻・せいま)が干してあった

こんな風にも考えられるのだ。日本において最強の天然繊維である「麻」の文化
に興味をもったのもこの金色の繊維に感動したことからすべてははじまった。


●毎年、夏は手作業の繊維採取の技術を学ぶ

2001年夏から毎年、群馬県の岩島麻保存会にお世話になることになった。過去の
ふぁーみんぐ通信にもその様子が書いてあるので、ぜひ読んで欲しい。

01年8月号 麻ひき・麻はぎの伝統工芸の世界 〜後継者育成の巻〜
http://www10.plala.or.jp/farming/backnumber/diary01/diary0108.htm

02年9月号 1週間の研修生活は楽しい 〜麻ひき2年目の巻〜
http://www10.plala.or.jp/farming/backnumber/diary02/diary0209.htm

今年は、その保存会が9月3日(水)にNHKのひるどき日本という番組に生出演する
ことが急遽決まってしまって、十分な実習日程を確保できなかったのである。毎年
5〜6名で繊維採取の技術(麻ひき)を実習しているが、ちょっとはうまくなったというより
昨年やったことをなんとなく思い出して、終わってしまったという感じ。

私にいたっては、今年の8月は、横浜市の江田にあるナチュラルハーモニー「プランツ」
という衣食住の本当の快適さをトータルに提案している空間&お店でヘンプフェアを
1ヶ月もやっていて、そちらのイベントと掛け持ちだったので、バタバタしていました。
来年こそは、温泉とキャンプと星空のある1週間研修生活をしたい。


●人間国宝になるには?

「伝統工芸技術を学んで後継者になりたい!」というそんな崇高な動機は私には
あまりない。そもそも「文化」とは、文(模様・かざりという意味)は、化ける(変わっ
ていく)ものだ。インターネット社会、そして水素エネルギー経済社会へと移行する
中でそれから生まれる文化が新しい文化、古い文化はなくなる。。。これは
歴史の必然だとも考えている。

じゃあ、自分への動機付けとしてなんかいいキャッチフレーズないかなーと知恵を
絞ったときにでてきたのが「みんなで人間国宝を目指す♪」。壮大でカッコよさそー
である。みんなで、、、とついているのは、文化財保護法という法律からの発想である。

人間国宝とは、重要無形文化財保持者の通称である。一般的には、栄誉的存在と思
われがちであるが、制度上は顕彰的意味合いはなく、その卓越した貴重な業(わざ)を
保存し、伝承することにあるのだ。

人間国宝の分野には、音楽、舞踊、演劇などの芸能関係と陶芸、染織、金工などの
工芸技術関係の2つがある。私たちの実習・研修している麻の栽培・加工・機織・染織など
は工芸技術にあてはまる。

国に認定されるには、最終的に文化庁にある文化財審議会で決められる。決まるまで
には、こんなプロセスが必要になってくる。

@技術の習得(私たちだけでは30年ぐらいかかる???)
A麻の伝統文化・工芸に関する調査&調査報告書の作成(2年ぐらいかかる)
B日本麻協会のような団体の設置・運営(今よりも体制をきちんとして、、、)
C文化庁に対するアプローチ(審議の議題にあがってから3年かかる)


●法律的な基準の話

重要無形文化財の指定並びに保持者及び保持団体の認証の基準

第1 重要無形文化財の指定基準(抜粋)
[工業技術関係]
 陶芸、染織、漆芸、金工その他の工芸技術のうち次の各号の1に該当するもの
 (1)芸術上特に価値のあるもの
 (2)工芸史上特に重要な地位を占めるもの
 (3)芸術上価値が高く、又は工芸史上重要な地位を占め、かつ、地域的特色が顕著なもの

→麻は日本の文化の根幹であるこということをもう少し資料収集・調査しないと
 難しいと文化庁関係者にいわれている。


第2 重要無形文化財の保持者又は保持団体の認定の基準(抜粋)
[工業技術関係]
 保持者
 (1)重要無形文化財に指定される工芸技術(以下単に「工芸技術」という。)
   を高度に体得している者
 (2)工芸技術を正しく体得し、かつ、これに精通している者
 (3)2人以上の者が共通の特色を有する工芸技術を高度に体得している場合において、
    これらの者が構成している団体の構成員
 保持団体
  工芸技術の性格上個人的特色が薄く、かつ、当該工芸技術を保持している者が多数
  いる場合において、これらの者が主たる構成員と成っている団体

→「みんなで人間国宝になろう!」のみんなで、、、の意味は、この保持団体の構成員にな
  っていれば、みんな人間国宝扱い♪ 但し、名前だけの登録者じゃダメらしい。(当たり前!)

そしてなんといっても人間国宝になれば、年間手当が200万円もらえるのだ!。
(団体は600万円程度)
年金がもらえない私の世代にとっては、これは意地でも人間国宝にならないと老後
が安心して暮らせなーい(笑)


●日本の麻文化再発見の旅へ

私が、「麻」に注目してから、皆さんからいろんな情報をもらっている。その中ですでに文化財
として存在しているものがある。それをリストアップしてみた。

岐阜県白川村 世界遺産 合掌づくり 茅葺き屋根にオガラ
宮城県栗駒町 人間国宝 千葉あやのさん(故人) 正藍染 栽培から麻布から藍染めまで
大分県大山町 人間国宝 矢幡正門 粗苧製造 久留米絣の原料として
宮崎県高千穂町 国指定重要無形民俗文化財 高千穂の夜神楽 
  → 素襖(すおう)と呼ばれる衣装の一種が麻布
奈良県指定無形文化財 奈良晒技術保存会 手績み大麻糸の麻織物
青森県指定有形民俗文化財 南部地方の紡織用具及び麻布 520点   所有者 個人 
愛媛県指定無形民俗文化財 八幡浜市五反田の柱祭り 8月14日 オガラのたいまつ使用
群馬県選定保存技術 岩島麻保存会 栽培から精麻加工まで
長野県選択無形民俗文化財 開田村の麻織の技法
東京都指定無形民俗文化財 六郷神社の流鏑馬 弓は椿の木に麻の弦
福島県福島市指定無形文化財 御山神楽 演目に大麻楽あり
三重県松阪市無形民俗文化財 御衣奉織行事 おんぞほうしょくぎょうじ
 → 5月と10月に神麻続機殿神社で麻を織り奉じる
愛知県田原市指定無形民俗文化財 田原けんか凧  凧糸が大麻糸
栃木県栃木市指定有形文化財(絵画) 大麻収穫の絵 

栽培、加工、機織、染織、麻布、神楽、たいまつ、弓弦、凧糸、絵画、茅葺き屋根、、、と
麻に関連する文化財もたくさんある。たぶん、全国的な調査はまだしていないので、
県レベルから市町村レベルまでの文化財をみていくとかなりの数になると思われる。
また昔は、大麻糸をつかっていた越後上布、能登上布、近江上布などを入れると麻布分野だけ
でも10指定ぐらいあるような気がする。

しかも、材料として必須となる漆喰壁の麻スサ(姫路城)、漆器工程の麻布、締め太鼓の麻糸、
神楽の衣装などを含むともっとたくさんあるに違いない。


●人間国宝プロジェクトとは?

こんなことやってみたいというのを箇条書きにすると、、、、

1)日本の麻文化財の調査と考察(歴史・民俗学分野)
2)日本の麻に関わる職人との出会いの旅(フィールドワーク)
3)麻栽培、加工、糸績み、機織、晒、染織までの加工技術習得(実践・実習)
4)麻糸や麻布、オガラなどの麻素材の機能研究(材料工学分野)

注)麻に関する職人
  花火師、織り子、紙漉人、左官、茅葺き職人、弓製造、太鼓製造、下駄製造、スサ製造など

このプロジェクトのコンセプトは、ズバリ

テクノロジー → カルチャー を止めて カルチャー → テクノロジー へ

今までは、テレビや冷蔵庫、洗濯機などのテクノロジー(技術)がカルチャー(文化)
を生み出してきたが、これからは、もう一度、カルチャー(文化)を見直して、新しい
テクノロジー(技術)を生み出すような動きこそが、今の日本に大事なことななーと
大げさに考えてみた。

それは、私にとっては、単に繊維採取という麻ひき技術を学ぶだけでなく、そこから生まれる
麻を利用した様々な伝統産業のリニューアルへとつなげていくプロジェクトなのだ。

またまた、新しい妄想(構想)がでてきたが、従来のプロジェクトと比較して、協力者が
現段階で多数(10人ぐらい)いることだ。年月的なことをいえば人生最大の長期プロジェクト
であることは間違いないであろう。

楽しく、しなやかにをモットーに「人間国宝プロジェクト」への温かいご支援を今後とも
よろしく。

→ 私も人間国宝になりたい!という方はご一報を。
   akahoshi@hemp-revo.net

以上

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