ふぁーみんぐ通信02年4月号
           アースデイでヘンプカー登場    〜やっとスタートの巻〜



●ヘンプカーのドタバタ劇

何事もそうかもしれない。一つのプロジェクトを一つずつ形にしていく作業は
とても地道な作業の連続である。植物油の一種であるヘンプオイル(麻実油)
で車を走らせる、走るだけではもったいないので土・日にかけて各地でイベント
を企画する。どうせ企画するするなら、人集めしたいし、マスコミにも広報したい、
車のデザインも考えなきゃ、車に積む商品は、、、と最低眼考えなければ
ならないことと、できればやりたいことの優先順位を決め、様々な情報を
交通整理する。
 あー、やることいっぱいだーという感じである。


●ヘンプカーの車選びのドタバタ

はじめは、美麻村の遊学舎にある25人載りのバスで走らせようとしていた。しかし、
昭和61年製、エアコンなし、誰もみたことない、燃費が1リットルで2キロしかなさ
そう、、などの意見が相次ぎ、肝心の車選びがゆらいでいた。誰か大きな車提供
してー!と叫んでいたが、3月末まで先延ばしになっていた。

ところが、大麻ビール「麻物語」を製造している新潟麦酒(株)の社長さんにたま
たまヘンプカープロジェクト(ヘンプオイルで車を走らせる日本縦断企画)を話題に
だしたところ、「おー、うちのキャンピングカー使うか?」と言われた。キャンピング
カーならば、各地での宿泊代がいらなくなるぞと経費削減の強い味方になると
思った。話があった3日後、息子が千葉の大学に進学する関係で新潟から東京
へ来るので、その帰路、新潟まで載せていってやろうか?と誘われた。
 「チャンス!」と思ったので、即答「新潟に言ってキャンピングカー見にいきたい」
とお願いして見にいったのである。

すばらしいキャンピングカーであった。5名宿泊可能で8名までなら乗れる。
日野レンジャー4トンロングの改造車で全長8.5メートルもある大きな車である。
荷台もあるし、キッチンも台所もついている。塗装も自由にしてもよいとの最高の
条件でお借りすることになった。とてもありがたい話であった。


●車の塗装のドタバタ

どういうデザインがよいか?なんて人それぞれの感性が違うので、意見がまとまる
のだろうか?不安でいっぱいな課題である。塗装だと時間もお金もかかるので、
最近路線バスで流行っているラッピングシートをつかってみようと考えた。ラッピング
できる会社とだいたいのコストを調べると、、、バスまるごと全部ラッピングすると
100万円ということが判明した。塗装に100万円は高いなー、探せばいるでしょ、
絵を書きたい人、ペンキ塗りうまい人、誰かいませんかー。。。

ヘンプカーの企画の中心になっている人たちがデザインのコンセプトを出さないと
誰もデザインできないよという意見から、みんなでデザインの具体的イメージを
決める。
麻の葉模様とヘンプリーフは必ず使いたいという合意を得たが、借りる車の写真が
なかったため、中途半端な情報でしかなく、デザイン案が来ない。(来るわけがない)

最終的に左右にロゴマークをでっかく書こう!ということに落ち着いた。また後ろの部分に
ラサさんという方がとっても素敵な「麻の葉と朝日が昇る」感じの絵を書いてきてい
ただいたので、これを採用。

4月16日(火) 見積もりを取る 19万円だった!
4月17日(水) デザインをスキャニングしてデータをCD-Rで提出
4月18日(木) ヘンプカーがラッピングシートを貼る会社へ到着(夜21:00)
4月19日(金) ラッピング作業、14:00に完成、ヘンプカーはアースデイ会場へ 
4月20日(土) アースデイ東京 
4月21日(日) アースデイ東京 NHKおはよう日本で3分間、生中継される!

日程的にはギリギリ。
見積もり上、19万円もしたので、天井部分はラッピングしないことにした。(2万円コスト減)
但し、自分たちでラッピングシートを貼れば、施工費5万円を浮かすことができたが、
時間もなく、人もいなかったので、業者に全て依頼。


●ヘンプオイルの加工のドタバタ

ヘンプオイル100%で走らせたい!(実行委員会)、
普通は20%植物油で後は軽油でも十分だよ!(オイルを加工する染谷商店)

染谷商店さんの実務的な意見とヘンプカーのみんなの想いがぶつかった。
100%で走るかどうか不安ならば、軽油と混ぜてもそれはバイオディーゼル燃料
として一般的に通じる。他の国だって、20%だけ混ぜて、堂々と「植物油燃料」
と言っているよという話を聞く。

オイルを提供していただているIHCJさんがはじめ600リットルしかないといって
いたが、実は2000リットルあったことが判明。そのうち1600リットルを軽油化。
レストラン麻の1000リットルと合わせると3000リットルもある。これだけあれば
大丈夫でしょうという判断で100%で走らせることを決断。

借りた車が大きかったのでポリタンクを荷台に積んでスタートできたのは
とてもよかった。はじめは、各地にポリタンクを郵送して、各地で給油する予定
だった。ところがどっこい、車の燃費がさっぱり検討がつかなかったので、各地
に何個ポリタンクを置けばよいのか?ちょうどよいぐあいに置く自信なんて、
全くなかったのだ。

軽油化したオイルの倉庫には、4月中旬から江東区に引越してきた
ヒマラヤンマテリアルの場所を無理してお借りした。染谷商店(墨田区)、私の
事務所(江東区)とご近所なので、とても、とても助かった。(ありがとう!)
都心でオイルの倉庫やヘンプカーの駐車場を探すのは難しいなーと実感した。


●資金調達、スタートまでに100万円は集まるのか?

100万円集めよう!と目標を決めて、まずは自分たちの自腹を切る。
各自1万円。100人いれば100万円。ヘンプインフォのMLに130名以上いるから
大丈夫でしょうと考える。だが、ヘンプに携わっている人は、なぜか極貧生活の人が
多いので1万円は厳しいのか?このプロジェクトがあまり支持されていない?
とにかく、なかなかお金が集まらない。

自腹を切る人たち(中心にいる人たち)が1万円単位なら、他の人はそれ以下
しかお金を出さない。もっと中心になる人が20万、30万だすべきだと何人かに
指摘される。株式会社として事業を起こすときに出資金とそれに応じた議決権
がある。それと同じようにお金はある種の決意表明である。その額が少ないなら、
プロジェクトの程度(意義や規模)が少ないと理解されてしまったのだ。

幸い、月刊波動という雑誌で広報したことと、精神世界、意識、波動に関心の
高い人たちのネットワークで事前宣伝できていたため、そちらからの寄付が
多数あり、なんとか4月15日までに100万円集まった。
とてもありがたいことである。お礼の葉書にヘンプカーの写真と4月21日のNHK
おはよう日本をぜひみてくださいという案内を出した。


●マスコミ広報、とりあえず成功?!

ヘンプカーを新潟からもってきて、ラッピングして、オイルを積んで、アースデイのある
代々木公園までもってくるのにドタバタしていたので、事前広報がきちんとできな
かった面が強い。しかし、4月5日のアースデイ東京2002の記者会見の資料の
中にヘンプカーのチラシを忍ばせておいたのが効果テキメンでよかった。

読売、毎日、NHK生中継という成果を残せた。アースデイというイベントでヘンプカー
がお目見えするという記事で各社取り上げていただいた。環境問題の改善策には、
麻を使おう!というメッセージは、アースデイにきた7万人と新聞やテレビをみた人
にかなり伝わったような気がする。

NHKの朝7:30〜のおはよう日本での3分間の生中継で、麻の実からオイルをとって
車を走らせることや麻からできた商品の紹介が簡潔でわかりやすく説明されていた。
テレビを見た人がたくさんヘンプカーを見に来た。ヘンプカーというツール(手段)は
一般の関心のない人でも十分に魅力を引き付けられるものだと実感した。

それと各社マスコミは、基本的に大麻はいけないものとして扱っているので、
表現方法は様々だということに気が付いた。

朝日新聞  大麻草から地ビールから油 というタイトル。一番的確な表現かな?
読売新聞  大麻 と書いてルビに「ヘンプ」と書く。
毎日新聞  麻(ヘンプ)という表現で統一。
NHK     麻(アサ)としか言わない。
北海道新聞  産業用大麻で統一、ヘンプオイルのことを大麻燃料と表現
河北新報  ヘンプで統一。説明(メモ書き)で捕捉。

麻は、広辞苑でひいても大麻のことなので特に問題はない。私自身、最近はヘンプ
と言わずに「麻」という表現をつかっている。(NHK的かなー?)


●ロゴマークのコピーライトを巡る問題

ヘンプカーのロゴマークはNPO法人のヘンプ製品普及協会が作成した。
デザインはいつ決まったの?という指摘。元々、ヘンプカープロジェクトが関西と関東
で主要メンバーが距離的に離れているので、意志決定プロセスが不透明という問題
点であったことも話しがややこしくなっているのも要因の一つにある。

ロゴマークの「2002(C)HPSA」という部分を消したほうがよいという問題提起があった。
コピーライトは、TM(トレードマーク)のように法律で保護されていないが、著作権や
版権の意味を表す。作成者はコピーライトを主張するためにつけたのではなく、デザ
インとして「2002(C)HPSA」があったほうがカッコイイのでつけたという。
 
しかし、ヘンプ=フリー(自由)の象徴に権利を主張するようなものが入るのはおかしい
という問題提起であった。また、コピーライトの記述にHPSA(ヘンプ製品普及協会の
英語の略名)が入ることによって、ヘンプカー=HPSAと思う人がでてくるかもしれない
という。
 
この議論にヘンプカー東京出発前に4時間もの時間を費やした。各自の意見をすり合わせた
結果、ヘンプカーにラッピングされたコピーライトの部分を消して、ロゴマークを使いたい人は、原則的に自由に使えるようにしようということになった。
 
●様々なドタバタを越えて
 
この問題は、プロジェクトの立場をじっくり考える上で重要なプロセスであった。
この他にも様々な課題をできるだけ話し合って解決していっているが、
いかせん車を動かすことを最優先し、それだけで必死で、議論を尽くしたとはとうてい
いえない。
各地で訪問する先々で様々な意見を交わして、なんとか着地点をみつけて
いきたいと考えている。
 
今後、ヘンプカーのホームページに掲示板を設けて、議論や応援メッセージ
がかけるようにするのでその場でどんどん書き込んでほしいなーと思っている。
 
ヘンプカー公式ホームページ  :
  http://www.partie.net/hpsa/hempcar/

以上





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