ふぁーみんぐ通信03年8月号
             麻の実料理教室をついに実施!〜まずは基本からの巻〜 



●それはヘンプフェアでのことだった

横浜市の江田にあるナチュラルハーモニー「プランツ」という衣食住の本当の快適さ
をトータルに提案している空間&お店がある。

このプランツの中には、素敵なヘンプウエアを販売しているorominaさん、ナチュラル
ハーモーニーの野菜を販売しているファーマーズ、ケーキが美味しいカフェ、ヒーリング
バー「クーカラ」、自然食レストラン「コア」、生活雑貨のキラテラなどの個性的なお店が
充実している。

ギャラリースペースもあって、プランツのコンセプトにあった様々な企画が開催されて
いる。このギャラリースペースと個々のお店と住宅部門のナチュラルホームデザイン
と今年7月からオープンした癒しのリラクゼーションサロン「ヒーリングラグーン」が
8月中ヘンプ月間となったのだ。

このヘンプフェア期間中に麻の実料理教室を実施したのであった。


●何をつくろうかなあ〜〜???

教室は1回に10〜20人ぐらい来るという。しかも場所は、住宅部門でつかっている
板の間のスペース。火が使えないから電磁調理器1個のみでなんとか料理教室を
してほしいとの企画側からの要望であった。

麻の実クッキングという料理本を2年前に出版したときに1度だけ、つぶつぶ料理で
有名な大谷ゆみこさんのお店を借り切って、料理講習会のようなものをした。
このときもつぶつぶ料理の店のスタッフが知恵を絞って、麻の実と雑穀(ひえ、あわ、
きび、たかきびなど)を組み合わせての料理がでてきた。

麻の実と雑穀とは料理の相性がよいので、最初はそれで講習メニューを考えようと
していた。
ところが、もっと基本的なことでよいのでは?と考えるようになった。だいたい麻の実
の素材の味が全く知られていないし、その素材の味が存分にわかる料理がいいはず
だー!と心の中で叫んだ。


●いよいよ本番 〜まずはレクチャーから〜

麻の実とはいったいなんぞや?という説明からスタート。
・三草四木、五穀(五行陰陽説)、八穀
・薬用型と繊維型という品種の違い
・茎、種、葉、花、根のお話と法律
・鳥の餌、漢方薬、七味唐辛子、いなりずし、郷土料理の紹介
・麻の実の食品加工チャート

ホントは、栄養学的な細かい話もしたかったが、プランツのコンセプトは、健康への効果
効能や要素還元主義の栄養学は相容れないところがあるので、その話は飛ばしました。

<ちょっとコラム・麻の実の郷土料理>

おいなりさん : 炒った麻実を酢飯にまぜる(大阪府)
油味噌     :野菜、油、味噌と共に麻実を入れて煮る(長野県)
麻実の野菜煮: 炒ってよくもんだものをすり鉢ですり、煮上がった野菜の上にかける(長野県)
がんもどき   :麻実を炒って粗くつぶしたものを一緒に豆腐の中に入れる(長野県)
しろはたずし  :空炒りした麻実をつかう魚の保存食(鳥取県)
あじのこはだ  :炒った麻実をおから、酢、砂糖、塩と混ぜ小あじに詰める(島根県)
飛竜頭     :炒った麻実を使った豆腐料理(島根県)
さばのおまんずし:酢さばの中に入れるおからの煮物に麻実を入れる(島根県)
あずま      :鯛、いわしなどの小魚の中に炒った麻実とおからの煮物を詰めたもの(広島県)
唐すし      :炒った麻実を酢飯に混ぜこのしろで包んだもの(山口県)
丸ずし      :あずまと同じ(愛媛県)
ひろす      :麻実、豆腐、おから、野菜をまぜて丸めて揚げたもの(愛媛県)
きらず      :慶事の場合のみ、おからの中に炒った麻実を入れる(愛媛県)
いずみや    :おからの中に炒った麻実を入れいわしや小あじに詰める(愛媛県)
麻の実味噌  :炒って皮を除きしょうがと共に生味噌に混ぜるおかず(高知県)
しちみがらし  :からし、ミカンの皮、麻実を乾燥粉末にした香辛料(高知県)
きつねずし  :酢飯の具の代わりに麻実をいれたもの(鳥取県)
たぬきずし  ;いなりずしの3倍の大きさのすし。酢飯の中に麻実をいれる(大阪府)
蒸し鯛     :鯛の中におから、野菜、麻実を煮付けたものを入れたもの(高知県)
(出典:日本の食生活全集より)


●つくったレシピ @麻の実おつまみ&ふりかけ

まずは、素材の味を感じていただくために、麻の実を食べてもらった。
麻の実は、そのままでもクルミのような味わいがあるけれど、前日に塩につけておいて、翌日
フライパンで空煎りしたものは、絶品!!。止まらない、やめられないおつまみ(子どものおやつ
からお父さんの酒のつまみまで)になるのだ。

麻の実ナッツを塩入りで少し炒めるとこれまた香ばしい臭いが、、、
これで、麻の実のおつまみ(殻つき、ナッツ)ができあがり。ついでにナッツをつかったふりかけ
のレシピも披露!

A麻の実サラダ

用意しておいた生野菜に麻の実油をたっぷりとかけて、先ほどつくったおつまみやふりかけを
混ぜて、サラダに大胆にもぶっかける。わざわざ麻の実油で手作りドレッシングをつくらなくても
これでいいのだーーー!と強引かつズボラな料理を披露!
麻の実油がオリーブオイルのように美味しいので納得、納得という感じでした。

B麻の実ガーリックトースト

どうせなら、トーストも麻の実パンにするというこだわりのガーリックトーストをつくる。
この麻の実パンは、栃木の麻農家で天然酵母パン屋「ぱんとまいむ」のものである。
麻の実ナッツが2割も含むのに1斤240円と超安い・激ウマのパン。

麻の実オイルにみじん切りのニンニクを入れて、ちょこっと炒めるだけの簡単レシピ。
麻の実オイルの味を生かし、気楽にできる料理は、サラダとガーリックトーストしかないという
持論を展開。

C麻の実クッキー

これは、ホントだったら、おみやげに使おうと思っていた作りクッキーをここで出してしまう。
麻の実粉をつかった料理が今回のレパートリーでは全くなかったので、粉の代表的な料理として
クッキー試食タイム。麻そばやパスタやお好み焼きなど小麦粉に混ぜる様々な使い方も
同時に説明する。


●やっと基本料理にたどり着く。

Dヘンプミルクとおからのつくり方

やっと、麻の実料理の基本中の基本がやっと登場。麻の実ナッツと水をミキサーにかけて、
鍋で温めて、ミルクをつくり、こし器でおからを取り出すという一連の作業。麻ミルクは、ちょっと
青臭い豆乳風味、おからは、おからという感じ。ま、ナッツと比べたら油が抜けたような味わい。

料理教室の1日目は、ミキサー容器がきちんと下に固定されていなくて、ナッツと水が机に
爆発。予想外の出来事に少し焦ってしまった(笑)。

Eヘンプハンバーグ

ハンバーグの作り方を教えてくれーという人はいない!という前提で麻おからをたっぷり入れた
ハンバーグのタネを事前に用意していた。これならば、料理受講者の目の前で焼き上げるだけで
時間節約料理。焼き上がってくるとあー香ばしい臭い。早く焼けるように4分割する。麻おからは
少し焦げやすいので気をつけていたが、やっぱり少し焦げてしまった。

大丈夫かなーと思いつつ、まず自分で味見。「う〜ん、美味しい」と自分でうなってから、受講者に
一口ずつ試食していただく。皆さんも口々に美味しいという。よかったよかったと思う瞬間がここ
にある。

Fプリン&ブラマンジェ

麻ミルクをつかった料理例としてプリンとブラマンジェを試食。これもたったの2時間しかない
料理教室には間に合わないのでできたものを披露。麻ミルク100%だとどうしても牛乳のような
コクがでないということを説明しつつ、デザートをいただく。


●まとめ

麻の実と一口にいってもその素材は6種類ある。この6種類をつかってクッキングする
のが麻の実料理をマスターすることにつながる。それぞれの特徴をつかんだ料理を
創作してくださいというような説明で締めくくる。

1)麻の実ナッツ・・・麻の実の殻を取った後の白いナッツのもの 
2)殻つき麻の実・・・そのままの全粒のもの
3)麻の実油・・・麻の実を搾ったオイル
4)麻の実粉・・・・油を搾った後の粕で種子粉
5)麻ミルク・・・ナッツから採れる豆乳のようなミルク
6)麻おから・・・上記のミルクを取った後の残り


●料理の先生に目覚める?!

ガスコンロ1個、ミキサー、ボール大小1個ずつ、さいばし、こし器、布、フライパン、フライ返し、
小皿、コップ2個、にんにく、生野菜、麻の実ナッツ、オイル、粉、殻つき、塩という材料で実施。

なんといっても麻の実以外の食材がにんにくと生野菜だけというこれで料理教室になるのか?
と思うほどの何もない世界だった。料理教室の参加者の中にもこの先生(私のこと)、料理でけ
るやろか?と不安でいっぱいだった人もいた(笑)。

それから、麻の実の簡単なレクチャー付き、簡単な基本料理の教室はもっと積極的に開催
したほうがいいなーと思った。ヘンプ入門本「ヘンプがわかる55の質問」、麻の実料理本「
麻の実クッキング」の2冊とももっていてもなかなか普段の生活に麻の実を取り入れていく
のは困難なことである。実際に話を聞いて、料理を食べて、関心のある人同士でおしゃべり
することがなりよりも大切なことのような気がした。

つぶつぶ料理の大谷ゆみこさんが「縄文人の古代食は、未来食である」という名言を残して
いるが、麻の実もホントにそのように実感できる。今後は、今の食生活・食嗜好に適した料理
レシピの研究と普及活動に力を入れていきたい。


ナチュラルハーモニーのページ(プランツの場所もあります!)
http://www.naturalharmony.co.jp/







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