ふぁーみんぐ通信04年6月号
                ヘンプ・ペーパーを使おうキャンペーン 
                 〜キナリ色ヘンプ紙ありますの巻〜




(1)   はじめに


近年、ケナフやバガスなどの非木材紙が注目を浴びているが、コスト面において劣勢で
あるため、木材を原料とするパルプと価格的に対抗できない現状がある。

非木材紙においては、特殊な需要のみをターゲットにするのではなく、恒久的な非木材
紙への需要喚起が今後の環境対策に必要である。当キャンペーンでは、過剰な森林伐
採による森林資源問題の解決策として、古くて新しい素材であるヘンプ・
ペーパーの利用を普及することが目的である。


(2)   ヘンプの有用性

ヘンプは、植物として様々な利点が指摘されるが、紙に限っては以下の通りである。

1.生育期間100日の1年草 =生産性が高い
2.ツンドラ、砂漠、高山地以外の気候ならば、世界中のどこでも栽培可能
3.輪作ができる
4.栽培時に農薬及び化学肥料を必要としない
5.繊維長が木材に比べて長い
6.通常に使用される木材紙に比べ、保存期間が長い


(3)   ヘンプ・ペーパーの意義


1.非木材紙の新たな素材として、市場に投入することにより非木材紙が再び着目され、
  非木材紙の潜在需要の掘り起こしにつながる。

2. 非木材紙市場の広がりは、木材パルプの使用を抑制し森林伐採を減少させる。
  また、製紙会社が計画植林をしている森林を伐採せずに保護することが可能。

3. 森林伐採が減少すれば、森林により二酸化炭素を恒久的に固定することが可能。

4. 二酸化炭素が今以上に多く恒久的に固定化できれば、地球温暖化の進行を抑制
  することが可能。

5. 農作物が育たない地域でも栽培が可能であり、砂漠化した地域の活性化につながる。

6. 日本人が古来より親しんでいた麻の文化の復興。


(4)   ヘンプ・ペーパーを企業が採用するメリット

★時代の先進性

 → 脱化石燃料の象徴であるヘンプに注目しているという先進性のアピール

   ヘンプを使用する企業は、自然派化粧品販売のTHE BODY SHOP、
  メルセデスベンツの自動車内装材への利用など様々な企業が注目されている。

★日本初といえる

 → ヘンプ・ペーパーを使用する日本の大手会社はまだ存在しません。

★社内及び社外への環境教育効果

 → 非木材紙の活用をアピールすることは、環境問題への取り組みの重要性を社内の
みならず社外にもメッセージとして
伝えることができ、それによって、環境意識の向上に貢献する。


(5)  キャンペーンで推進しているヘンプ・ペーパーについて


商品名:きなりヘンプ紙

サイズ     厚さ                 全紙1枚の価格
46判 タテ目 70kg 200枚包み 残り55束    40円〜130円 *注文量に応じます。

NPO法人ヘンプ製品普及協会が2001年度に試作製造したヘンプのもつ自然なきなり
色をしたヘンプペーパーです。グリーン購入法に対応するためにヘンプ30%、古紙70%の
配合となっています。


(6)国産でつくろうヘンプペーパー

現在、一般的につくられている紙は、木材紙、非木材紙を問わず、パルプ化工程で
リグニン(紙を黄色に変色させ、弱くする成分)を除去するために加熱させ、化学薬品が
大量に使われています。
 下記の製造方法では、加熱と薬品を使わないで石臼の原理を利用した無薬品パル
プ化装置を使います。無薬品でパルプをつくることは、環境負荷の削減に貢献すると
同時に長持ちするよい紙もつくれるメリットがあります。

1ヘクタールでできる国産ヘンプ原料から本などに使うコピー用紙の製造コストを
下記のように計算してみました。
 ユーザーの求める価格と製造コストのすりあわせは、この計算をベースにさらなる
検討が必要だと考えられます。


●製造コスト

農業生産  麻茎:1ヘクタールで乾燥重量8000kg 
         400円/kgとすると320万円 
  ↓

チップ化
粉体化   6400kg 4日間で20万円(5万円/日) 250kg/時の処理機を利用 歩留80% 

  ↓

無薬品パルプ化  4480kg 90日で150万円(50万円/月) 乾燥パルプ50kg/日の装置を利用
             パルプ化装置760万円を購入したランニングコスト(人件費+電気代) 
             歩留70% 
  ↓          

 抄紙   13440kg ヘンプ30%+古紙70% のグリーン購入法対応の用紙を製造する。 
           上記の4480kgに古紙を混ぜ、ヘンプ30%古紙70%とし、その歩留を90%とする。
           開発費とあわせて700万円
  ↓
コピー用紙 四六判で70kg 192連
  
  ↓

工場出荷  A4サイズ 1536000枚 =192連×1000枚×8枚 =200ページの本が約15000冊分
  
  ↓

 紙問屋(一次卸)

  ↓
 紙問屋又は印刷所(二次卸)
  ↓

 ユーザー(出版社など)


工場出荷までのコスト:1190万円 設備投資 パルプ化装置 760万円
                     麻収穫機          ??万円
 
よって、設備投資を除く、コストの2分の1補助により、595万円となり、
麻を普及させたい出版社が採用できる価格に近い数字となる。
但し、製造者の利益は含んでいない。


●ユーザーの求める価格帯:192連のコスト
                          
四六判1枚 紙購入価格
通常の出版社が使う紙 25円 480万円
麻紙GA(フランス産ヘンプパルプ50%含有) 42.15円 809万2800円
麻を普及させたい出版社が採用できる価格 30円 576万円
 注意:全ての紙問屋の利益を含む


●ユーザーの価格にあわせるには?

ユーザーの普及価格を基準と考えるとき、コスト削減の方法として
1)効率のよい麻収穫機を開発し、農業生産のコストを削減する。
2)大型のパルプ化装置を導入する。但し、設備費は高くなる(約3000万円)
3)ヘンプ30%の割合を減らす。
4)最初の製造に必要な設備費や研究費及び試作開発費は、補助金を利用して製造する。
5)紙問屋を通さないで直接ユーザーと利用契約を結び、流通コストを削減する。


このプランをなんとか実現させてみたい企業・個人の方がいましたら、こちらまでご連絡をお願いします。



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ちなみに日本で市販で流通している「麻紙GA」は、下記の通りです。

商品名:麻紙GA(ヘンプ50%含有) 

アサ科の1年草であるヘンプは、木材パルプに比べて1ヘクタール当たり、4
もの収量があります。過剰な森林伐採を抑え、自然と共生できる社会をつくっ
ていくきっかけとして、このヘンプペーパーを使うことをオススメしています。

このASA GRACE(麻紙)は、hemp50%配合して、麻の繊維の特徴を最大限
に引き出し、底艶のある白さと品を紙に持たせています。蛍光染料やブルーイ
ングは一切行わず、高白色度と高い不透明性を備えるばかりか、用紙の奥から
白さが感じられるようになっています。

サイズ 厚さ 1梱包 全紙1枚の価格
4/6判横目 70 200 122
同上 90 200 158
同上 110 200 186
同上 135 200 229

全紙は、A4サイズの用紙が8枚取れます。
価格は枚数によって変わりますので、必ず見積もりをお取りください。
麻紙GA に関するお問合せ(株)竹尾 03-3292-3621
 http://www.takeo.co.jp/


以上




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