ふぁーみんぐ通信05年2月号
      麻の実肥料を使いませんか? 〜麻で育った有機野菜の巻〜



●麻の実の油かすが肥料になるには?

アサ科の一年草で繊維、食用、薬用のために栽培された「大麻」から摂れる
種子=麻の実には、約30%の油分が含まれている。これを低温圧搾法とい
う昔ながらの機械圧搾で搾ると約10%〜20%の麻の実油(ヘンプオイル)
ができる。そこから油を除いた残りは油かすになる。

肥料取締法の分類では、肥料には「普通肥料」と「特殊肥料」があり、
麻の実油かすは、普通肥料の三要素系肥料の有機質肥料の草本・植物性くずに
該当するのである。独立行政法人・肥飼料検査所の見解より

また、普通肥料には、法律で決められた公定規格があり、元の原料が何であ
ろうと油かすの場合、

 窒素(N) 3%以上
 燐酸(P) 1%以上
 カリ(K) 1%以上

となっている。この最低基準を満たしていれば、普通肥料としての登録ができ、
生産・販売ができる。逆にこの基準を満たしていなければ、肥料として登録・
生産・販売の一切ができないのである。果たして麻の実油かすは法律上、肥料
として認められるのだろうか?


●作物の成長に必要な肥料とは?

すべての植物で共通で、一つでも欠けると正常に育たなくなる元素が16種類あ
り、必須元素と呼ばれる。

必須元素:炭素(C)、酸素(O)、水素(H)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)
     カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、イオウ(S)、塩素(Cl)、
     マンガン(Mn)、ホウ素(B)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)

この中で肥料成分として大量に必要なものは、窒素、リン酸、カリ=肥料の三要素
と呼ばれる。一般的に油かすは、化学肥料に比べて、成分あたりの価格は高いが、
肥料の効果を長続きさせる、濃度障害を起こしにくい、土壌を酸性にしにくい、
高品質な栽培が期待できるという利点がある。畑の土壌にとって油かすは

土壌の物理性改良(土をふかふかにする)、
地力の増進(肥料の三要素以外の必須元素の補充、土壌微生物の繁殖を促す)

という効果が期待できるのである。今日、化学肥料が敬遠されるのは、
化学肥料が水に溶けやすく、効き目が早いという利点が、何度も使って
いると濃度障害(作物が育たなくなる)があり、土壌を酸性化させるからで
ある。又、有機物がないので、土壌の物理性の改善や地力の増進にはつなが
らない=地力がおちる=土地がやせる となるからである。

有機肥料である油かすを上手に使うことが有機農業の実践に欠かせない
土作りのノウハウなのである。


●麻の実油かすの成分分析

菜種油かすや大豆油かすなどの油かすは、一般的に油かす肥料として販売され
ている。麻の実油かすは事例がないので、正確にいえば登録されていないので
販売してはいけないのである。大麻取締法の規制緩和より先に法律上クリアし
なければいけない分野がこんなところにも存在した!!(びっくり♪)


          窒素全量  りん酸全量 かり全量 (%)
なたね油かす粉末   3.8〜6.7   1.3〜3.4  0.8〜1.6
棉実油かす粉末    5.0〜7.2   1.6〜3.4  1.0〜1.7
大豆油かす粉末    7.1〜8.0   1.7〜1.9  2.2〜2.4
ごま油かす      5.6〜8.5   2.1〜3.1  1.0〜1.2

麻の実油かす     5.45     2.68    1.07

               分析:(財)日本肥糧検定協会より

上記のように麻の実油かすを分析して生産事業者のある都道府県に05年2月に肥料
登録をした。これで堂々と麻の実油かすを肥料として流通販売することができる
ようになったのである。

麻の実肥料を販売するときにつけなければならない保証票(ラベル)

<生産業者保証票>

登録番号:茨城県第1189号
肥料の種類:その他の草本性植物油かす及びその粉末
肥料の名称:麻の実油かす
保証成分量(%):窒素全量4.0%、りん酸全量2.0%、加里全量1.0%
正味重量:20キログラム
生産した年月:2004年10月
生産業者の氏名又は名称及び住所
株式会社貝塚正雄商店
生産した事業場の名称及び所在地
KMKU


●ブランド名「麻で育った有機野菜」を育ててみませんか?

今までのつながりの中で歌手の加藤登紀子さん率いる鴨川自然王国と長野県の
農業試験場、それから茨城県の農家などに肥料を販売し、麻の肥料の効果につ
いてそれぞれで調べてもらっている。

油かす単体で使ったり、ボカシ肥(微生物の分解させたもの)にしたりするこ
とで化学肥料より美味しくて、より栄養価の高い作物がつくれるのである。

私としては、麻に興味をもつ農家に積極的につかってもらいたい。麻の栽培免許
を取得するのは現段階で難しいので、この麻の肥料を使って「麻で育った
有機野菜」というブランド名で販売して欲しいのである。菜種かすや大豆かすなど
の油かす全体では6000トンも市場で流通している中で、現在の麻の実油かす
の生産量は年間5トンしか発生しない。ものすごく貴重な肥料である。

野菜の10アール(=1反=0.1ヘクタール=992平米=約32m×31m)の面積で
平均すると野菜の養分吸収量で窒素18kg、リン酸5kg、カリ26kgが必要。

野菜畑で元々の土壌がもつ窒素分50%、肥料から補う窒素分50%とし、
仮に肥料から窒素分をすべて麻の実油かすで満たすとすると

窒素の保証値4%として、10アールで麻の実油かす225kgが必要となる。
年間生産量から考えるとたったの2.2ヘクタール
※1ヘクタール=100m×100m=100アール=1万平米

全国でたったの2.2ヘクタールの畑でしかブランド名「麻で育った有機野菜」と
いう称号がつかえないのである。

今なら麻の実肥料が在庫として20kg袋が200袋あるので、興味をもった方はぜひ
お問い合わせ下さい。農業用だけでなく、園芸用肥料として使いたい方も大歓迎!

肥料発売元:(株)ニューエイジトレーディング
  連絡先 akahoshi@hemp-revo.net 赤星あて

以上







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