ふぁーみんぐ通信07年12月号
             無知は不安を、不安は恐怖を、恐怖は攻撃を生む!
                 〜まずは政府の公式文書を読もうの巻〜 




大麻草という植物に関する話題は、マスコミの流す「大麻=悪」のイメージばかりである。

@日本の伝統文化を支えている植物
A地球環境問題への対応するバイオマス資源作物
B脳内マリファナの発見と新薬への期待が持たれる薬用植物


という観点での情報はほとんどない。誰かに情報操作されているというより、
人間のもつ心理的プロセスが増幅している状態にすぎない、と私は思っている。

それをうまい言葉でいえば、無知は不安を生み、不安が恐怖を生み、
さらにその恐怖が攻撃を生むのである。大麻草に関しては、その無知さから来る
不安→恐怖→攻撃が今のマスコミの状況である。あー、もっと勉強しろよ!!

それで、@からBの最近の報道で私が知っているものは下記の通り。
北海道から沖縄(宮古島)まで各地の動きに焦点をあてた記事紹介である。

特集「ヘンプ麻 恐るべき将来性」(株)オルタナ、オルタナNo.3 2007Aug P28-30
特集「脱石油のものづくり 植物原料を使いこなせ」日経エコロジー 2006.10
「見直される環境にやさしい大麻草」毎日新聞全国版 2006年8月30日
「地域再生と産業用大麻」読売新聞全国版夕刊 2007年10月22日
「ヘンプで自然派生活」日経MJ、2005年6月29日
「大麻で土壌改善」北海道新聞一面、2006年9月18日
「野州麻紙工房・cafeギャラリー納屋 大森芳紀さん」フリーペーパー
「ヘンプの魅力感じてほしい 衣食住、可能性を広げて」繊研新聞 2007年5月8日
「麻と和紙連携、新産業を」岐阜新聞 2006年9月8日
「麻の活用法を検討」中日新聞2006年9月8日
「畳表の横糸はイグサ、経糸はアサ 信州麻プロジェクト開始!」つぶつぶ10号2007年
「ムラの技『麻糸づくり』伝承しよう」中日新聞(新潟日報)2007年1月15日
「麻栽培実業化を研究」読売新聞高知版 2007年6月6日
「自然へ還元可能な素材 バイオマスエコタウン・ヘンプを紹介」宮古新報 2007年3月4日
「大塚製薬とGWファーマシューティカルズ カンナビノイドに関する共同研究契約締結」
大塚製薬プレスリリース、2007年7月9日

これらの記事は、今年の夏にインターンに来た学生さんにまとめてもらった。「ヘンプ麻 紹介記事ダイジェスト2005〜2007」→ PDFファイルで欲しい方は連絡を。


一方で、日本政府関連がまとめた大麻に関するレポートも探さないと見つからないものが多い。ここでは、行政報告書、法律解説書、大麻特区資料についてまとめてみました。 大麻草で、何かアクションをしたい!地域興ししたいという方にはぜひ読んでもらいたい必読の行政資料です。

「→」は、私のコメントです。
  

●行政報告書

厚生省薬務局麻薬課編『大麻』
厚生省、1976年、全92ページ、データ容量6.84MB

<概要>
厚生労働省がまとめた大麻草に関する唯一の冊子。大麻草の起源、植物の特性、薬理成分、
大麻の鑑定法、大麻の作用、医薬品としての大麻、大麻の乱用、大麻の取締り、大麻の社
会学的考察についてまとめてある。

→ 古典ですが、一応、伝統から医療までを網羅した必読の基本書。
  

依存性薬物情報研究班(編)「依存性薬物情報シリーズ No. 1 大麻」
厚生省薬務局麻薬課1987 年、全144ページ、データ容量4.1MB

<概要>
厚生労働省が上記の「大麻」の冊子の改訂版を薬物専門家をあつめて発行した冊子。
大麻とは、大麻の鑑定法、大麻の薬理作用、大麻乱用の臨床、大麻の乱用、大麻の法規制について
まとめてある。主に病院・医療関係者向けに解説している。

→ 大麻の薬理作用について有害・無害に偏りなく中立的に書かれた「マリファナの科学」
  (築地書館)と比較すると恐ろしく、偏った見解が多い。
  約20年前の見解だからという理由は通用するのだろうか?


依存性薬物情報研究班(編)「依存性薬物情報シリーズ No. 9 大麻乱用による健康障害」
厚生省薬務局麻薬課1998 年、全135ページ、データ容量5.6MB

<概要>
アメリカで発行された「マリファナと健康ー連邦議会に対する第8次年報(1980)〜」を
の翻訳を中心に薬物専門家によって書かれた冊子。他には、大麻にょって発現する動物
の異常行動、大麻性精神病、大麻無害論は成立するか、という内容。

→ 大麻無害論は成立するかという内容は必見。厚生労働省の考えがよくわかる。
  10年に一度ペースでレポート出しているので、この次のレポートはあるのだろうか???


厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課「麻薬・覚せい剤行政の概況」
毎年11月発行。約180ページ

<概要>
1年に一度厚労省から発行される薬物関係の冊子。大麻事犯の検挙数や大麻取扱者・研究者の
人数、国際情報などが統計データとともに紹介されている。入手希望の方は直接、当局へ
連絡をして下さい。
厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課
〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2 中央合同庁舎5号館
(直通)03−3595−2436(内線)2761
(FAX)03−3501−0034

→ 統計的な公式データはこちらをいつも参照にしている。
  在庫があれば、誰でも無料で郵送してくれる。


●法律解説書

古田佑紀, 齊藤勲編『大コメンタールU 薬物五法 大麻取締法・あへん法・覚せい剤取締法』
青林書院、1996年、全120ページ、データ容量9.79MB

<概要>
大麻取締法第1条〜第27条に関するこれまでの裁判判例に基づく注釈集。
法律制定の経緯から大麻草の定義などが詳しく書かれてある。横書き。


平野竜一他編『注解特別刑法第5巻医事・薬事編(第2版)』
青林書院、1992年 全161ページ、データ容量6.6MB

<概要>
大麻取締法第1条〜第27条に関するこれまでの裁判判例に基づく注釈集。
法律制定の経緯から大麻草の定義などが詳しく書かれてある。縦書き。

→ 大コメンタールU、注解特別刑法も両方とも、法律関係に詳しく知りたい場合は
  必読の本です。THCがない大麻草の場合には法律適応除外ではないかという指摘も


  紹介されている。


財)日本公定書協会「麻薬・向精神薬・覚せい剤管理ハンドブック 第8版」
じほう、2007年 全1452ページ

<概要>
麻薬乱用防止と適切な麻薬利用・管理のために医療関係者・薬務行政担当者向けの実務上の手引書。
第7版は2003年でその後の法改正を反映させた2007年8月出版の最新刊。10500円
入手はアマゾン等で購入可。

→ 医療大麻の適正管理の方法論を調べたい場合は、モルヒネの事例があるので大いに


  参考になると思われる。


●大麻特区資料

長野県美麻村・産業用大麻特区構想
提案時期:第4次提案募集関係(平成15年11月 1日〜30日)構造改革特区(第4次提案募集)
最終回答:平成16年1月28日 データ容量170k

→ 不合理で、非効率的な行政活動を国民の意見を聞いて「規制緩和」するための制度。


  この制度を利用して都道府県知事の大麻取扱者免許を市町村レベルに規制緩和しようと
  美麻村が内閣府を通じて、厚生労働省とガチンコ勝負した貴重な記録。

岩手県紫波町の大麻特区
提案時期:第5 次提案平成16 年6 月30 日及び第6 次提案平成16 年11 月17 日
最終回答:平成17 年 2 月 9 日 データ容量20k

→ 美麻村に続けて岩手県紫波町からもアタック。かなり踏み込んだ内容であったが、


  厚生労働省の壁は厚かった。今後の展開に繋がる交渉の記録である。


●欲しい資料があればメールで!

政府の言っていることは、「嘘八百、百害あって一利なし」「本来、頭がよい人が集まっているのに、
なぜか機能不全(誰か理由を説明してください)」と批判する前に、過去のレポートを読みましょう。
(一方的な、個人的な批判は誰でもできるので)

バカの壁、環境の壁、大麻の壁は、厚そうで、乗り越えられない巨大な壁に見える。
共に認め合うための第一歩にこの資料があるはずだ。

一部の市販品や行政報告書を除いて、全てPDFファイルにしてある。
メールで氏名、連絡先、必要な理由を書いてくれれば、誰でも電子データにて送付する。


ちょっと重いデータがあるので、自分のインターネット接続回線の受信速度を確認してから
申し込んでくださいませ。

P.S. 最近、データベース化が各方面で進んできて、読まなければならない資料が
   膨大にあります。読んだものは随時、ホームページで紹介していきたい。

以上





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