ふぁーみんぐ通信09年6月号
     沖縄で麻を新産業に!離島対策に!〜沖縄県の今までない動き方〜


●2007年からはじまった。。。

2007年3月に沖縄の宮古島でヘンプのイベントが開かれた。
宮古島は、その昔を麻姑山(まこやま)と呼ばれたようで、麻の地名が付くところであった。

しかも、島の古老からは、GHQによって島に生えていた麻は一本残らず抜き取った。
という事実。麻織物の世界では、宮古上布が有名だが、今は苧麻が使われている。
かつては、大麻と苧麻の交織もあったという。(文献を探している!誰か知らない?)

このような歴史を背景して、麻の取り組みが07年に実質的に始まった。
この間、いろいろなイベントと、行政との話し合いがもたれ、県民へのアピールイベントとして、
09年6月13日には、「麻まつり」が那覇市内で行われた。







隣の石垣島の方が年間80万人来て、宮古島は40万人だそうで、3次産業の観光が主産業だが、
平野が広がっているので、農業もさかんな地域である。サトウキビ、タバコ、肉牛が3大品目。


硝酸性窒素対策に麻を!


宮古島地下水保全調査報告書平成16年度、前島和洋「宮古島における地下水
保全の取り組み」しまたてぃNo.27


北海道の北見市でも硝酸性窒素対策に麻栽培が実験されているが、宮古島の方が小さい離島
で、なおかつ島は100%地下水に頼っており、地形・地質的に影響が大きいといわれている。
国の基準の10ppmを下回っているが、さらなる低減が求められているのが現状である。
サトウキビの裏作で、麻が植えられるとどうなるかはぜひとも実験して検証すべき課題である。

宮古島への麻導入のメリットは次の通りである。

@土壌中の硝酸性窒素濃度の低減化
  →サトウキビの裏作、輪作が有効では?

A農薬や化学肥料を必要せず、雑草・虫に強いため栽培管理が容易
   →高齢者と若者にやさしい

B宮古上布(麻織物)の原料として使われた
  素材の復活 → 苧麻と大麻の交織

C沖縄県の戦略的農業政策に合致
 新規作物の開発、農業と製造業との連携、バイオエタノール計画との連携

→ つまり、離島経済対策が緊急の課題なのである。


●豚、牛、鶏、農業マルチで実証実験

さて、栽培したあとに何使うのか?とりあわけ、繊維とオガラの重量比からいえば、
オガラがたくさんさん発生する。この出口を考えることは非常に重要である。

沖縄では、オガラの出口に使う可能性の高いところで実証実験をはじめている。



麻チップを豚の敷藁につかってみると、気持ち良さそうに寝ていた。ここでは、廃棄物処理業を営み、集めてきた残飯を高速乳酸発酵技術によって、エサに替え、さらに麻チップを敷藁にしたのである。豚糞と麻チップの混ざったものは、堆肥としてすぐに使え、近隣農家に無料で配布されている。

ここで働いていた若者は半年前まではニートであったが、今ではBMWやベンツなどの車を持って、やりがいを感じて働いていた。

 牛の敷き藁にも使いました

8か月メス 12頭いたところでも実証実験をした。
この農家の実感では、牛がよく寝ていた、人がきても驚かない、匂いが少ない、オガクズより3倍持つ、目がきれい、穏やか、喧嘩しない、言うことを聞く、牛が高い値で売れる、とのことでした。
エサには、EM(有用微生物群)+米ぬか・とうもろこしが主体であった。

実際に牛の前に立ってみると、なんとも穏やかな感じの牛であった。



これは農業用マルチとして、気温の高い宮古島で植物や土壌の水分の蒸発を抑えるために麻チップを敷いてみました。


●商品化への挑戦

麻の栽培よりも、商品化して、その良さを多くの人に知ってもらう取り組みが
盛んなのが沖縄の特徴である。

乾燥もずくの乾燥材に麻チップを使ったり(左写真)、麻炭とヘンプオイルとEMを
混ぜてつくった石けん(右写真)をつくっていた。



また、ポプリの消臭材に麻チップをブレンドしてみたり、手作り品で赤ちゃん用品
やおっぱいパッドなどをつくっていた。




 そば屋もあった!


自分のできるところからやってみるという積極性があって素敵だった。

沖縄といえば、環境系では、EM菌の取り組みが有名である。
EMは、有用微生物群(Effective Micro-organisms)の頭文字をとっており、
”悪玉菌優勢(腐敗)”から”善玉菌優勢(発酵)”に変化させる菌類のことをいっている。

EM菌は20年前、琉球大学農学部比嘉照夫教授により開発され、現在は、農業、畜産業、水産業にとどまらず病院、理容店、花屋さん、クリーニング店、ペットショップ、食品加工業や飲食業、清掃業etcで利用、EM菌を応用した石けん、セラミックス、健康食品、衣類、食品容器などの製品も愛用者が多いものである。

それから、面白かったのは、現地のEM研究会の方が発見?したのが

「HEMPの文字の中には、EMが元々、入っている!相性がいいはずだ!」ということである。

私も、その両方を知っていたが、HEMPの中にEMの文字は今まで見えていませんでした。

沖縄・宮古島は、EMとHEMPを組み合わせの商品開発をいろいろしていくようである。


●16歳の少女の主張(講演企画)

沖縄、最大の特徴はこれだ!16歳の少女が「平和と戦争とヘンプ」を語るのだ。
下記の琉球新聞09年5月29日では17歳となっているが、私が会ったときは15歳であった。
地元の倫理法人会などで講演活動を続けている。
メッセンジャーになる人がいるというのは、非常に心強い。どんどん活躍してもらいたい!!





●日本国内の他地域が沖縄から学ぶこと

沖縄は、戦後に栽培実績がないため、栽培すること自体をはじめのステップとして
位置づけていないことである。

まずは、栽培した後の加工や商品を地元でどう創出するかに力を入れている。
また、麻の良さをしってもらうために、興味のある人に材料を配布して、使ってもらう、
試作品をつくってもらうこと、を積極的にしている。

輸入品を使うことに抵抗のある地域が多い中で、輸入品でもまずは良さを知ってもらわないと
話にならないということである。

この活動のスタンスは非常に高く評価できる。
また、自分のできるところから商品化、試作開発をしているところも共感がもてる。

無理しない、等身大な活動の展開がここに見られる。

栽培しないと何もはじまらないのも事実だが、市場がないと栽培しても意味がないのも
事実である。にわとりと卵がどちが先かという話でもあるが、市場への受け入れを
重視しているのが沖縄の特徴である。

現在の栽培免許の要件は、伝統工芸か、生活必需品の2点どちらかである。
生活必需品として普及するために、まず市場をつくっていく、
そのような取り組みは、他の地域がもっと沖縄から学ぶところだと思われた。

沖縄発の麻の取り組み、今後も注目ですね。


沖縄 麻まつり2009(沖縄のヘンプのリンクはここにあります)
http://asamaturi2009.ti-da.net/


* 沖縄の麻まつりでお世話になった皆さん、ありがとうございました。
  このレポートでは個別の活動まで詳しく紹介しきれませんでしたが、
  皆さんの取り組みの積み重ねがジャンヌ・ゆきを生み出しているような気がしています(笑)。

以上






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