ふぁーみんぐ通信10年7月号
         大麻特区シリーズ@ 〜長野県美麻村の巻〜


●特区って何?

法治国家である近代国家は、時代の変化で制度疲労してしまうことがある。
これを打開するための手法の一つに特区というものがある。

諸外国の事例を踏まえて、日本でも特区制度がはじまったのである。それは、平成14年に施行した構造改革特別区域法に基づき、規制の特例措置を定めた特別区域を設定し、教育、農業、社会福祉などの分野における構造改革を推進し、地域の活性化を図ることを目的としている。

どぶろく特区(酒税法:自宅の密造酒販売解禁)、農家民宿特区(旅館業法:トイレ2つ必要とかを除外)、小学生に英語教える(学校教育法:柔軟に対応)というのが有名。
今となっては、この程度のことを特区に特別に指定しないと、何もできないがんじがらめな法律っていったい何のためにあるのか?地域の個性を出したり、先進的なことをしようとするといつも法律が邪魔しているの典型例。法律とそれを支える制度が時代遅れとなってしまっているは誰の目からも明白である。


●「大麻で特区をとろう!」は、これまで主に3つ挑戦した!

自治体を巻き込んでの特区申請は、この制度がはじまってから大きくわけて3回ほど挑戦している。
その概要は下記の表の通りである。

大麻取締法関連の特区要請)

長野県美麻村

岩手県紫波町

北海道北見市他20地域

要望時期

第4次提案

平成15 11

5 6次提案

平成16 6 月〜

 平成1610

1114次提案

平成196月〜

平成2010

要望事項@

大麻取締法第1 条に規定する「大麻」の定義からの低毒性産業用大麻品種の除外、

産業用大麻栽培者の免許権限の都道府県知事から市町村長への委譲

大麻の栽培目的の要件緩和、町への許可権限移譲、

産業用大麻の栽培用種子の輸入解禁

産業用大麻の種子の輸入規制緩和

要望事項A

大麻栽培者による産業用大麻栽培用種子の輸入解禁

該当法令@

大麻取締法(昭和23 年法律第124 号)第1 条、

大麻取締法(昭和24 年法律第124 号)第5 条第1 項、

大麻取締法(昭和23年法律第124号)

第5条第1項大麻栽培者免許に係る疑義について

(平成13313日付け医薬監麻発第293号)

輸入のけし、大麻種子の取扱いについて(昭和40915日付け薬発第708号通知)

輸入割当てを受けるべき貨物の品目、輸入の承認を受けるべき貨物の原産地または船積地域その他貨物の輸入について必要な事項の公表を行なう等の件(昭和41 4 30 日通商産業省告示第170 号)
輸入のけし、大麻種子の取扱について(厚生省通知:昭和40 9 15 日薬発第708 号)

該当法令A

輸入のけし、大麻種子の取扱いについて(昭和40915日付け薬発第708号通知)、

交渉結果@

C:特区として不可

I:法律上の手当てを必要とするもの

C:特区として不可

I:法律上の手当てを必要とするもの

C:特区として不可

III:省令・告示上の手当てを必要とするもの

交渉結果A

C:特区として不可

IV:訓令又は通達の手当てを必要とするもの

  構造改革特区の提案募集について:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/teianbosyu.htmlを参照


特区申請が全国でものすごい数があるため、首相官邸ホームページから探すことが容易ではない。
そのため、ここでは大麻特区がどのように政府および厚生労働省などと交渉してきたかの一部始終をテキスト情報化してみた。

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第4次提案募集関係(平成15 年11 月 1 日〜30 日)
構造改革特区(第4 次提案募集)に関する当室と各府省庁のやりとり
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/yaritori4.html
長野県美麻村の産業用大麻特区構想は、「C:特区として対応不可 ・特区として対応が不可能であるも
の 」と最終的には判断された。以下、そのやりとりの全文(重複回答箇所を除く)を掲載する。

●措置の分類

「措置の分類」について は、A、B、C、D、E の各ランクに分類される。

分 類 内 容
A 特区として対応 ・新たに特区として対応するもの
・提案主体等が実行可能な代替措置を講じること等、一定の条件のもとに特区として実現できるもの

B−1 全国的に対応
(平成16年度中に対応)
・提案内容について、新たに全国的な対応をするものであり、遅くとも平成16年度中に実施するものであって、対応策が明確であるもの(対応時期、対応策が明確でないものは「特区として対応不可」に分類)

B−2 全国的に対応
(平成17年度中に対応)・提案内容について、新たに全国的な対応をするものであり、遅くとも平成
17年度中に実施するものであって、対応策が明確であるもの
(対応時期、対応策が明確でないものは「特区として対応不可」に分類)

C 特区として対応不可 ・特区として対応が不可能であるもの

D−1 現行の規定により対応可能
・現行の規定により対応可能であるもの
・提案事項を別の制度を活用することにより対応できるとするようなものは、
本来の提案内容を実現するものではないことから、本分類には該当しない。

D−2 特区の特例により対応可能
・特区の特例(基本方針の別表1に記載されているもの)に基づき対応可能であるもの

D−3 地域再生の支援措置により対応可能
・地域再生の支援措置(プログラム別表に記載されているもの)に基づき対応可能であるもの

D−4 既に決定された方針に基づいて全国的に対応予定
・既に平成17年度末までに全国的に対応することが決定しているが、現時点では実施されていないもの

E 事実誤認 ・規制自体が存在しないなど事実誤認のもの

上記に分類された措置は、以下の4 段階の内容を根拠とする。

●措置の内容

分類 措置の内容

I 法律上の手当てを必要とするもの

II 政令上の手当てを必要とするもの

III 省令・告示上の手当てを必要とするもの

IV 訓令又は通達の手当てを必要とするもの


管理コード 090820
規制の特例事項名 大麻取締法第1 条に規定する「大麻」の定義からの低毒性産業用大麻品種の除外

該当法令等制度の現状
大麻取締法(昭和23 年法律第124 号)第1 条
大麻取締法第1条で「大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、
大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と規定さ
れている

(厚生労働省→美麻村への回答)措置の分類 C 措置の内容 T
大麻の幻覚成分は微量の摂取で精神作用が発現することから、たとえ低濃度であっても、乱用のおそ
れがある。また、幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる。そのた
め、大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するため、幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大
麻取締法で規制する必要がある。

1048010 美麻村
産業用大麻を活用した新産業創造特区
大麻取締法第1 条に規定する「大麻」の定義からの低毒性産業用大麻品種の除外
090830 産業用大麻の栽培に係る免許要件の緩和
該当法令等制度の現状
大麻栽培者免許に係る疑義について(平成13 年3 月13 日付け医薬監麻発第293 号)
大麻取扱者の免許交付審査においては、その栽培目的が伝統文化の継承や一般に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合に限り免許すべきと解している

(厚生労働省→美麻村への回答) 措置の分類 C 措置の内容 T
大麻の幻覚成分は微量の摂取で精神作用が発現することから、たとえ低濃度であっても、乱用のおそれ
がある。また、幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる。そのため、
大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するため、幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制する必要がある。

大麻に関しては、その有害作用から栽培等の行為は厳重に規制し最小限なものとする必要がある。大
麻の栽培を安易に認めると、不適正な栽培、盗難、乱用の助長の問題等が起こりうることから、保健衛
生上の危害を防止するためにも、必要不可欠な場合に限定して栽培免許を付与することは必要である。
いわゆる産業用大麻といわれるものもその実態は大麻そのものであり、乱用のおそれがあることには
変わりないことからも、いわゆる産業用大麻の栽培をその他の大麻栽培と区別することは適切でない。

(美麻村→ 厚生労働省への質問)
幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制した上で、幻覚成分が微量の産業用大麻をその他の大麻と区別して、保健衛生上の危害を防止するための適切な代替措置を講じる場合においては、現在全ての大麻について栽培を認めている「必要不可欠な場合」よりも広く、産業用大麻の栽培を
認められないか、検討し回答されたい。併せて、右の提案主体からの意見も踏まえ、再度検討し回答さ
れたい。
「大麻の幻覚成分は微量の採取で精神作用が発現する」との指摘について、どのような研究結果に基づ
くものか開示願いたい。その開示されたデーターに基き、本件品種が具体的に精神作用を及ぼす科学的
事実を判明させていただきたい。

1998 年6 月のフランス国立保健医療研究所による「麻薬の危険度調査」において、大麻がヘロインやコ
カインといった他の薬物は勿論のことながら、アルコールやたばこよりも危険度が低いとされた
(1998/6/17 共同通信ニュースより)ことや、世界的に著名な医学書である「メルクマニュアル」にお
いて「(大麻が)重篤な生物学的影響があるとする主張の大部分は、比較的大量の使用者、免疫学的、
生殖機能についての積極的な研究においても、ほとんど立証されていない(万有製薬樺供 メルクマ
ニュアル第17 版日本語版より引用)。」と指摘している点について、貴省の見解を伺いたい。
「幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる」との指摘があるが、欧
州やカナダ等でも同様の状況にある中で、政府による一定の規制のもとで、広く産業用の大麻栽培が行
われており、我が国においても保健衛生上の危害を防止しつつ、健全な大麻産業を興すことは可能であ
ると思われる。貴省の回答を見るに、それが不可能であるほど我が国の行政・治安が欧州各国やカナダ
などに比べて劣っているとの指摘とも受け取れるが、そのような解釈でよろしいか。

(厚生労働省→美麻村への回答) 措置の分類 C 措置の内容 W
大麻の幻覚成分であるTHCについては、「体重60Kgの人間が3ミリグラム相当を吸煙摂取しただ
けで作用がある」との報告(依存性薬物情報研究班編「依存性薬物情報シリーズ 大麻」)があり、T
HC含有量が0.3%以下のいわゆる産業用大麻であっても1グラム摂取すれば大麻の作用が現れる。
また、THC含有率を高める大麻の栽培方法やTHCを大麻草から抽出・濃縮する方法が一般書籍にも
掲載されている。さらに、THC含有量が低い大麻といわれるCBDA種は劣性遺伝であり、在来種と
の交配により幻覚成分含有量が通常の大麻と同様になり、恒常的にTHC含有量が低く保たれるもので
はない。したがって、THC含有量が多い大麻と少ない大麻を区別して規制することはできない。
「メルクマニュアル」の「大麻が重篤な生物学的影響があるとの主張はほとんど立証されていない」と
の記述の「重篤な生物学的影響」が何を指すのかは明らかでないが、他方、同書では「大麻の慢性ない
し定期的使用は精神依存を引き起こす」、「吸われた大麻は夢幻様状態をうむが、その状態では観念がば
らばらになり、不安定となり、自由に流動するようである」、「精神分裂病様症状が、抗精神薬(例、ク
ロルプロマジン)で治療を受けている患者においてさえ、マリファナによって悪化する場合がある」、「多
量使用者は肺の症状(急性気管支炎、喘鳴、咳、粘液分泌過多のエピソード)を発生し、さらに肺機能
が障害されることがある」、「長期多量使用者の少数サンプルにおいて認知機能低下が一部の検査で同定
された」といった記述があり、大麻の人体への有害な影響を示唆している。また、フランス国立保健医
療研究所の「麻薬の危険度調査」で大麻が、アルコールやたばこよりも危険度が低いとされたとあるが、
マリファナの吸引によって幻覚等の作用が生じうるのに対して、たばこやアルコールでは通常の喫煙、
飲酒で幻覚を生じることはない。WHOの1997年報告では大麻乱用の急性効果として知覚発達と精
神運動作業の悪化等、慢性的効果として知覚機能の選択的低下や大麻依存症候群等の健康被害が指摘されている。「1961 年の麻薬に関する単一条約」でも大麻はヘロイン等と同様に最も厳重に規制すべき附
表Wの薬物に分類されている。

1048020 美麻村 産業用大麻を活用した新産業創造特区 産業用大麻の免許要件の緩和

(美麻村→厚生労働省への質問)
そもそも、構造改革特区制度は、様々な規制を地域を限って緩和することにより、当該地域の事業者の
創意工夫による新たな産業の創出を主な目的として実施されているものと認識しており、現在の規制状
況をそのまま回答している姿勢は、ほかに産業の創出の難しい山間地の現状を全く省みない姿勢である
と認識せざるを得ず、納得しかねる。
「大麻の栽培を安易に認める」との指摘であるが、本提案は、あくまでもカナダ政府の事例を参考とし
ており、中央または地方政府の統制下における規制緩和といった意味からして「安易な栽培容認」とは
言い難く、逆に栽培用途は限定されているものの、その品種については幻覚成分の多寡に関わらず許可
されている我が国の大麻栽培の現状を改め、栽培用途の限定を緩和する代替措置として、幻覚成分の極
めて少ない品種に限定することを求めていることからして、保健衛生上の危害を防止するための安全策
を十分に講じた上での提案であると考える。欧州や、カナダに於ける産業資材としての大麻の活躍はめ
ざましいものがあり、石油に頼らないバイオマス資源の開発は、広範な業種に新しい道を拓くものであ
り、安易に規制を考える姿勢は、石油輸入国である我が国の国益を阻害していると言わざるを得ない。
もとより「幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制する」ことに異論はないが、
その規制のもとで、地域の事業者の創意工夫による健全な大麻産業を創出するためにも、法によらない
本提案については、上記の措置を講じた上で緩和していただくことを希望する。

(厚生労働省→ 美麻村への回答)

大麻自身の有害性に加え、大麻はゲートウェードラッグとも呼ばれ、米国の調査では「大麻経験者の2
6%が5〜6月後にはLSD等の経験者となっていたが、未経験者ではわずか1%であった」との報告
がある。大麻乱用を防止することは他の薬物乱用を抑止する手段としても有効である。我が国の大麻の
生涯経験率は2001年調査では1.1%で、欧米(10〜30%台)に比べて抑制されているものの、
1995年(0.5%)から2001年(1.1%)の間に倍増しており、一層厳格な規制・取締が必
要である。昨年7月には「薬物乱用防止新5か年戦略」が策定され、政府一体となって大麻等の薬物乱
用対策を一層強力に推進することとされている。また、昨年12月に犯罪対策閣僚会議において決定さ
れた行動計画でも薬物乱用のない社会の実現を目指して取締の強化を図ることとしている。このような
状況の下、大麻栽培の規制を緩和することは論外である。大麻栽培について、伝統的文化の継承や一般
に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合に限って免許を与えているのは、
大麻の栽培を極力限定することによって大麻乱用を防止するためであり、THC含有量の低い大麻であ
っても通常の大麻と区別して規制できない以上、「必要不可欠な場合」に限って栽培を認め、その栽培
を厳重に規制することが必要である。

090840 大麻栽培者による産業用大麻栽培用種子の輸入解禁
該当法令等制度の現状
輸入のけし、大麻種子の取扱いについて(昭和40年9月15日付け薬発第708号通知)
大麻の違法な栽培を防止するため、輸入する種子については発芽不能処理を行うこととしている
(厚生労働省→ 美麻村への回答) 措置の分類 C 措置の内容 W
大麻の幻覚成分は微量の摂取で精神作用が発現することから、たとえ低濃度であっても、乱用のおそ
れがある。また、幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる。そのた
め、大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するため、幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大
麻取締法で規制する必要がある。 種子の輸入を認めることは、全国的な大麻の違法な栽培を助長する
ことになりかねず、その防止のためにも、種子の輸入について現行の規制を行うことは必要である。

(美麻村→ 厚生労働省への質問)

幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制した上で、幻覚成分が微量の産業用大麻をその他の大麻と区別して、保健衛生上の危害を防止するための適切な代替措置を講じる場合においては、大麻栽培者による産業用大麻栽培用種子の輸入を認められないか、検討し回答されたい。併せて、
右の提案主体からの意見も踏まえ、再度検討し回答されたい。
「種子の輸入を認めることは、全国的な大麻の違法な栽培を助長することになりかねない」との指摘で
あるが、大麻研究者の輸入許可と同等の規制を設けるとともに、輸入可能品種を限定することにより、
ご指摘の状況を防ぐことは、十分に可能であるにも拘らず、合法的な麻産業の育成を積極的に退ける姿
勢は、『バイオマス日本』を打ち出した政府の方針と同じ路線上にあるとは考えられず、納得できない。
もとより「幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制する」ことに異論はないが、
その規制のもとで、地域の事業者の創意工夫による健全な大麻産業を創出するためにも、法によらない
本提案については、現行法と同程度の規制といった措置を講じた上で緩和していただくことを希望する。

(厚生労働省 →美麻村への回答)措置の分類 C 措置の内容 W
大麻の幻覚成分であるTHCは「体重60Kgの人間が3ミリグラム相当を吸煙摂取しただけで作用が
ある」との報告が大麻の薬理等に詳しい専門家グループ「依存性薬物情報研究班」からあり、THC含
有量が0.3%以下の大麻であっても1グラム摂取すれば大麻の作用が現れる。また、THC含有率を
高める大麻の栽培方法やTHCを大麻草から抽出・濃縮する方法が一般書籍にも掲載されている。さら
に、THC含有量が低い大麻といわれるCBDA種は劣性遺伝であり、在来種との交配により幻覚成分
含有量が通常の大麻と同様になり、恒常的にTHC含有量が低く保たれるものではない。したがって、
THC含有量が多い大麻と少ない大麻を区別して規制することはできない。近年、我が国の大麻経験率
が増加し、規制・取締の必要性が増している。政府は昨年7月、「薬物乱用防止新5か年戦略」を策定
し、大麻等の薬物乱用防止対策の一層の推進を図ることとしている。昨年12月に犯罪対策閣僚会議に
おいて決定された行動計画でも薬物乱用のない社会の実現を目指して取締の強化を図ることとしてい
る。このような状況の下、大麻栽培の規制を緩和することは論外である。THC含有量の低い大麻であ
っても違法な栽培を防止するため、その種子の輸入について現行の規制が必要である。

090850 産業用大麻栽培者の免許権限の都道府県知事から市町村長への委譲
該当法令等制度の現状
大麻取締法(昭和24 年法律第124 号)第5 条第1 項都道府県知事免許

(厚生労働省→ 美麻村への回答) 措置の分類 C 措置の内容 T
大麻の幻覚成分は微量の摂取で精神作用が発現することから、たとえ低濃度であっても、乱用のおそ
れがある。また、幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる。そのた
め、大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するため、幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大
麻取締法で規制する必要がある。いわゆる産業用大麻といわれるものもその実態は大麻そのものであり、
乱用のおそれがあることには変わりないことからも、いわゆる産業用大麻の栽培をその他の大麻栽培と
区別することは適切でない。

(美麻村 → 厚生労働省への質問)
地域再生推進の観点から、地方公共団体における権限委譲が重要であることを踏まえ、提案を実現でき
ないか、検討し回答されたい。

(厚生労働省→ 美麻村への回答)措置の分類 C 措置の内容 T
大麻の幻覚成分であるTHCは「体重60Kgの人間が3ミリグラム相当を吸煙摂取しただけで作用が
ある」との報告が大麻の薬理等に詳しい専門家グループ「依存性薬物情報研究班」からあり、THC含
有量が0.3%以下の大麻であっても1グラム摂取すれば大麻の作用が現れる。また、THC含有率を
高める大麻の栽培方法やTHCを大麻草から抽出・濃縮する方法が一般書籍にも掲載されている。さら
に、THC含有量が低い大麻といわれるCBDA種は劣性遺伝であり、在来種との交配により幻覚成分
含有量が通常の大麻と同様になり、恒常的にTHC含有量が低く保たれるものではない。したがって、
THC含有量が多い大麻と少ない大麻を区別して規制することはできない。近年、我が国における大麻
経験率が増加し、規制・取締の必要性が増している。政府は昨年7月、「薬物乱用防止新5か年戦略」
を策定し、大麻等の薬物乱用防止対策の一層の推進を図ることとしている。昨年12月に犯罪対策閣僚
会議において決定された行動計画でも薬物乱用のない社会の実現を目指して取締の強化を図ることと
している。このような状況の下、大麻栽培の規制を緩和することは論外である。THC含有量の低い大
麻についてもその他の大麻と同様に栽培を厳重に規制し、乱用を防止する必要がある。現在、大麻栽培
者は全国で100名弱であり、また、都道府県には大麻取締法等の捜査権を有する麻薬取締員が配置さ
れ、厳正な監視取締体制が整備されていることから、都道府県知事が栽培目的や地域の現状を審査して
大麻栽培免許を与え、統一的な管理を行うことが最も適当である。

以上





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