ふぁーみんぐ通信11年4月号

       大麻取締法を変えるにはどうすればよいのか?
             〜政治・行政アクションの巻〜



●大麻取締法を変えるには? 

原発事故が起こってから、「原発は安全、放射能は安全」という政府の言っていることがデタラメであることが多くの方が知った。戦前の大本営発表は、未だに顕在であり、日本政府に限らず都合の悪いことは、隠すのが常套手段である。


ここでは、1948年にアメリカのGHQの押しつけによって制定された大麻取締法をどうやって日本人が見直していくかを考えていきたい。

そもそも、日本では政治的に何か主導して物事を決めることは苦手だという前提がある。

ほとんどが、各省庁の●●審議会というところの下部組織の専門部会又は●●検討会とそれを担当する事務局(官僚)でつくられた原案が、もっとも影響力がある。大麻法でいえば、次のようになる。

国会−厚生労働委員会(議員)
      −薬事・食品審議会(学識経験者+マスコミ)−指定薬物部会−●●検討会 
  
                          
※ご参考ページ 厚生労働省審議会 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/indexshingi.html


但し、大麻法に関しては、官僚の協力が得られるようなテーマではなく、議員調査会−議員立法が望ましいと私は考えている。例えば、2006年の有機農業推進法は、議員立法である。これは、化学肥料と農薬否定の農法は、JAとつながりのある官僚では原案が作成できなかったためであり、そもそもその有機農業の必然性が組織として理解できなかったからに他ならない。

個々人での官僚の意見や見識は、素晴らしいが、組織になると、全くダメになる。
これは古今東西・歴史的に実証されているので、あきらめた方が精神的にもよい。

政治家と市民が一緒になって一つの政策課題解決のためにどのように動けるのか?
その動くための組織が、2010年4月に大麻草検証委員会という組織ができた。

●大麻草検証委員会の活動について

この会の目標は、大麻法の改正もしくは特別措置法の制定(実質的に現行大麻法を廃案にする)ことである。そのためには、議員立法をして、衆議院・参議院で過半数を得て可決するという最終目標のために下記の政治アクションをしていく予定である。

1)議員立法をする

  議員立法には、参議院10名以上の賛成又は衆議院20名以上が必須です。
   カルフォルニア州のように非犯罪化・課税合法化する場合は、予算に影響を及ぼすので、    参議院では20名以上又は衆議院50名以上が必須です。

2)議員立法する前に、大麻法の改正案又は特別措置法の案を作成する。

3)法律を変えるまで待てないので、社会実験・特区をつくる (特に医療分野)

例)医療大麻の臨床試験するための特区制度

特区制度

窓口

長所

短所

評価

構造改革特区

内閣府

自由に発案できる

特区になるまで時間がかかる

政治主導ではない

先端医療開発特区

(スーパー特区)

内閣府

研究開発がテーマである

研究者主導でできる

公募型なので競争率が高い

次回公募予定が不明

都道府県独自の

植物療法特区を指定

都道府県

県独自にできる

政治主導でできる

特区としての法的な担保が弱い

総合特区制度 

内閣府

厚労省との協議の場がある

自治体からの提案となる

これに関しては、4月26日の大麻草解体新書出版パーティでとある議員秘書の祝辞で、民主党の進めている総合特区制度への応募ができることを紹介していた。
その総合特区の説明についてはこちら
http://nagashimakazuyoshi.seesaa.net/article/196812416.html

4) 1)〜3)の前に、正式に政治の場で議論できる調査会をつくる。

   厚生労働省の薬事審議会では、官僚主導なので期待できない。

よって、衆議院・参議院の厚生労働委員会のプロジェクトチームや政局に左右されない参議院の調査会制度を利用したい。http://www.sangiin.go.jp/japanese/chousakai/about.html

例)医療大麻を議論する調査委員会の受け皿

主体

議論及び調査の場

長所

短所

評価

厚生労働省

薬事・食品衛生審議会の専門委員会を発足

昔からの意思決定プロセスを踏襲できる

専門委員会の発足に時間がかかる

×

国会議員

(参議院)

参議院の調査会制度を利用

立法勧告権がある

政局に左右されない

衆議院議員の参画ができない

国会議員

(衆参両議院)

厚生労働委員会の専門プロジェクトチームを発足

超党派の議員を集めやすい

衆議院の解散等の政局に左右される


5)衆議院&参議院の厚生労働委員会で、話題に取り上げてもらう。

   国会議員から大麻法に関する質問主意書を出す。

6)マスコミ記者向け勉強会をする。

   厚生労働記者会、司法記者クラブを予定しています。上杉さんの自由報道協会でもよい。

7)議員勉強会を開催する→大麻法見直し議員連盟をつくる 

  → 「大麻取締法第四条廃止勝手連」は、その受け皿・政治家が参加しやすい仕組みとなることを期待してつくりました。全国勝手連はこちら http://www.kaerusouken.jp/

→ 5)〜7)は、4)の設置ができるまで同時進行で行う。

8)県主導の特区をつくる。

国の制度や政治アクションとは関係なしにできるのがこちらの県主導の特区である.

大麻取締法

第二十二条の二 この法律に規定する免許又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は、大麻の濫用による保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な最小限度のものに限り、かつ、免許又は許可を受ける者に対し不当な義務を課することとならないものでなければならない。

法律上は、知事権限によって、大麻法の第二十二条の二を根拠にして、大麻経済特区、麻の実健康特区、医療大麻活用特区を県独自につくることが可能である。地方自治が弱い日本では、難しいテーマだが、北海道の産業用大麻栽培特区は、これに該当すると解釈してよいだろう。


●大麻草をどの程度の管理下に置くのか?

国の制度をある程度知ったら、次に提案する中身のアウトラインを決めなければならない。
大麻の管理のレベルはたぶん5段階ぐらいある。

1.アルコールと同じく課税の対象とする:アメリカ・カルフォルニア州のマリファナ課税法案  参考として日本の酒税法、タバコ事業法がある。

2.オランダ並みの管理 コーヒーショップ合法化 個人所持の非犯罪化 30gまで

3.見つけても捕まえないといういわゆる非犯罪化 

4.減刑(罰金刑)の復活 

5.免許制


目指すべきは、(1)であろう。諸外国の大麻法の規制強化と緩和の歴史からみると、
(3)→(4)→(5)→(1) の順に政策導入することになるであろう。

規制勢力は、大麻ダメ・ゼッタイと一度いったから、それを見直したり、間違いであったことは役人のプライドをかけて抵抗する。(市民には抵抗しているように見える)

戦争が止まらなかったり、原発が止まらなかったり、環境破壊を伴う経済成長が止まらなかったり、、、すべては、見直したり・止めたり・無駄を省いたりすることが、官僚の皆さんの出世につながらない
、人事考課でマイナスなる、少なくともプラス評価は全くされない、、、という官僚の人事制度の問題点に行きつく。
これは、どの国でも事情の大小はあれども、世界共通である。

民間企業 = 他がやっていないことをする文化 2番煎じはダメ、オンリーワンな世界、
         責任をとる仕組みがある

官僚組織 = 前例がないとしない文化、検討するという言葉=何もしないと同義語
         よほどの大事件がない限り責任をとらなくてもよい。

同じ言葉を話、同じ国に住んでいるが、両者は文化があまりにも違うのである。
そんなバカな!と思うかもしれませんが、バカの壁の一つなのである。



●(5)の免許制度をベースにした大麻取締法を変える方法


 
大麻取締法第4条の規定は、制定当時に流通していた印度大麻草、チンキ、エキスといった日本薬局方で認められていた大麻から製造された医薬品をすみやかに排除するためでした。医療大麻が合法的に使えるようにするには、まずは第42項と3項の削除が必須である。これを削除することで、大麻草を使った医学・薬理学の基礎研究、臨床試験を推進することでき、サティベックスの未承認薬輸入や大麻草からの抽出物を利用した新薬開発への道を開くことができる。

第4条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。
1
.大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。
2
.大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。(削除)
3
.大麻から製造された医薬品の施用を受けること。(削除)

次に「大麻取扱者」の定義に医療大麻で使用する方を追加条項(4)が必要となる。大麻草そのものは、薬草であり、日本の法律上において医薬品に成り得ません。また、患者自身が栽培して摂取することは、自らの治療行為に該当するため医療ではありません。そのようなことを考慮すると次のような文案が考えられる。

第2条 この法律で「大麻取扱者」とは、大麻栽培者及び大麻研究者をいう。

2 この法律で「大麻栽培者」とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいう。

3 この法律で「大麻研究者」とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する者をいう。

4 この法律で「大麻利用者」とは、都道府県知事の免許を受けて、自ら治療する目的で、大麻草を栽培し、又は大麻を使用する者をいう。(追加)

大麻取扱者免許を交付する都道府県は、「大麻利用者ガイドライン」を別途定めるとよい。植物療法特区での社会実験や政治主導で設置された医療大麻委員会で検討する課題は、適用疾患の範囲、種子の入手方法、栽培本数と所持の範囲、代理人の扱い、手数料の妥当性などが考えられる。海外の実例及び日本の大麻取扱者免許制度を参考にして原案をつくっていく。

これを叩き台にして、志を同じくする皆様とまたは現状を変えたい政治家及び行政の方々と一緒に詳細を詰めていきたい。

ご意見・ご感想はぜひメールにてお願いします。






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