12年4月号
              北海道ヘンプネットが発足
           〜栽培免許基準の改悪をギリギリ阻止の巻〜




ヘンプカーの外観


●ヘンプカー北海道2011のゴール前に。。。

 北海道を函館から北見まで、7月7日から8月8日を4100kmをヘンプオイルで走り、各地でヘンプマルシェ(麻商品の展示販売会)を開催するヘンプカー・プロジェクトを実施した。

 ヘンプカープロジェクト北海道の実行委員長には、菊地さんというついこの間(2011年3月末)まで道庁の公務員で上川農業試験場長で、ゆめぴりかなどのお米の育種で有名な方と一緒にした。

それで、このゴール直前の8月4日に北海道庁の北海道地方薬事審議会において、北海道大麻取扱指導方針の一部改正というこれまでの免許制度の運用をさらに厳しく、実質的には免許を与えないというような改悪が密かに検討されていたのである。

 北海道の大麻栽培免許を管轄する医療薬務課と、ヘンプカー終了後に何度か面会しているにも関わらず、一切、このような具体的な内容を明らかにせず、保健福祉部の内部で、手続きを進める当局のやり方は本当に問題がありすぎである。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/iyk/iry/yakuji/yakujisinngikai230804.htm


●改悪の中身とは?




●北海道ヘンプネットを立ち上げて改悪阻止へ

ちょうど、私がインターネットで別件で調べていたところに、引っ掛かった重大情報であった。気付いたのが、2月10日。

すぐさまヘンプカーでお世話になった方々が動いて、北海道ヘンプネットを発足集会を開こうとしたのが2月29日。

この日に北海道庁の保健福祉部、農政部、北見の大麻特区を管轄する総合振興局に申し入れ書を提出。

交渉のテーブルにおいて、当局の説明により今回の改悪は再検討・延期という発言があり、今年2012年4月1日からの改悪をとりあえず阻止することに成功。

その後、この状況を打開するために北海道ヘンプネットのイベントを3月28日に札幌で開催。

北海道ヘンプネット3.28札幌集会のご案内

2012年3月28日 11:00〜15:00 札幌市教育文化会館研修室

基調講演(11:00〜12:00)
  武田邦彦先生(中部大学教授、「大麻ヒステリー」著者)
    「日本人と大麻と放射能」 

話題提供(13:00〜15:00)
    1)舟山秀太郎氏(オホーツク麻プロジェクト代表、(株)香遊生活代表取締役) 
      「北海道の産業用大麻を利用した地域振興の可能性」
    2)赤星栄志氏(バイオマス産業社会ネットワーク理事、「ヘンプ読本」著者)
      「全国の産業用大麻の栽培状況と地域産業について」
    3)森山大樹氏(弁護士、中山大麻裁判の弁護人)
      「産業用大麻を巡る法的諸問題と対応策について」
座長 菊地治己北海道ヘンプネット世話人代表(農業活性化研究所代表)

このときの武田先生の講演は、こちらのユーストリームで放映中。
http://www.ustream.tv/recorded/21413251

また、話題提供の3名のお話はこちらのユーストリームで放映中。
http://www.ustream.tv/recorded/21415206


こんな感じでドタバタと動きました。
年度の切り替え時期が迫っていましたので、ギリギリに間に合って一件落着。


●申し入れ書の内容(全文)

2012年2月29日
北海道保健福祉部長様

 「北海道大麻取扱指導方針の一部改正」の検討中止と産業用大麻の普及推進
に向けた積極的な取り組みに関する申し入れ書

 大麻草は、古くから衣服などの原料や食料として人類に利用されてきた伝統的な繊維・食用作物です。最近では、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素をよく吸収し、プラスチックなどの加工原料にもなるバイオマス作物として世界的に注目されています。このように、大麻草は様々な製品を生み出す地球環境にやさしい作物であることから、消費者のみならず繊維、建材、食品、エネルギー、医薬など多くの産業分野からも国内生産を望む声が高まっています。

 北海道においても、昨年の夏に開催された「ヘンプカー・プロジェクト2011北海道」を通じて、広く道民に産業用大麻の有用性を訴えた結果、知事宛ての「産業用大麻の普及に関する請願」に二千名を超える人々の署名が集まるなど、市民、農業生産者、企業家などから、産業用大麻の普及を求める声が多く上がっております。

 ご承知のように、北海道は平成20年に、地区の名称を「北見市産業用大麻栽培特区」とする北海道チャレンジパートナー特区を北見市に対して認定し、産業用大麻を用いた地域産業の課題について北見市の関係者と検討を重ねてきたと伺っておりますが、昨年の8月4日に開催された北海道地方薬事審議会に対して、貴部がそうした背景説明をすることなく「北海道大麻取扱指導方針の一部改正について」を諮問されたことは、大きな問題と言わざるをえません。

 特に、研究者免許については、現行の審査基準で認められている「医学、薬学、化学、農学その他の学術研究」が、改正案では削除されておりますが、これは、実質的に産業用大麻に関する基礎的、応用的な研究を禁止するものであり、学問研究の自由を否定するものであります。こうした研究の制限ないしは禁止については、公益との関係において広く国民のコンセンサスを得る必要があります。

 また、大麻栽培者への指導要領の改正では、その使用種子を実質的に栃木県において育成された「とちぎしろ」に限定するものですが、栃木県が自県の栽培者以外に「とちぎしろ」の種子の分譲をおこなっていない現状では、こうした種子の制限は、北海道における産業用大麻の栽培を実質的に禁止するに等しいものであります。

 さらに、盗難等防止措置として、現行の指導要領では「栽培地の周囲には、人がみだり立ち入ることができないよう堅固な柵等が設けられていること」となっており、改正案では「栽培地では、大麻栽培者以外のものが侵入できないよう、栽培地の四方を頑強な柵及び鉄条網で、囲い盗難防止の措置が講じられていること」となっておりますが、そもそも無毒性の大麻であれば盗難の防止用の柵などの必要性はなく、事実、栃木県では麻畑の周りに柵などはありません。現行の柵のみでも設置者には大きな負担となっている上に、改正案では、さらに鉄条網の設置を求めるなど栽培者に対して過大な負担を強いる改正となっています。

 これは、大麻取締法の第5章雑則 第22条の2「この法律に規定する免許又は許可には条件を付し、及びこれを変更することができる」と 2「前項の条件は、大麻の濫用による保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な最小限度のものに限り、かつ、免許又は許可を受ける者に対し不当な義務を課することとならないものでなければならない」に明らかに抵触するものであります。

 北海道においても、伝統的な麻栽培を復活させ、日本の伝統文化を守ろうとする農業者、市民、神官が大勢おられますし、また、北見市をはじめ、あらたな産業用大麻の可能性を期待する人々も道内各地におられます。特にこうした新たな利用法については、農学をはじめ各種の試験研究は絶対に必要なものであります。特に産業用大麻は、もともと日本の伝統的作物であり、それから生産される繊維など各種の製品は農産物でありますから、本来は国にあっては農林水産省が、また、道においては農政部が所管すべき作物であることをしっかりとご認識いただきたいと思います。

 こうした産業用大麻の可能性を考慮することなく、研究の機会さえ与えないという今回の改正は、対象が大麻であるから許されるものではありません。むしろ、問題や課題の多い大麻であるからこそ、適正な管理のもとで、産業的な利用のための研究や試作栽培が必要であります。その上で、産業的な可能性が認められたら、さらに本格的な大規模栽培を北海道に導入するための各種施策を講ずるのが道庁本来の役割ではないでしょうか。

 知事も日頃から道民に対し、様々な分野でのチャレンジを期待し、また応援もされておられますが、今回の産業用大麻の栽培と研究を実質的に禁止しようとする貴部を中心とする道庁の態度はこうした知事の政治姿勢にも反するものであり、多くの道民が失望しております。

 このように問題の多い改正案の検討を直ちに中止し、逆に、チャレンジパートナー特区に北見市を認定した原点に今一度立ち返り、同市から出されている様々な要望に対して前向きに対応するとともに、2041名の道民が、昨年10月に知事に提出した「産業用大麻の普及に関する請願」に対しても誠意ある対応をお願いする次第です。

以上、北海道産業用大麻(ヘンプ)普及推進ネットワークの世話人を代表して、ここに「北海道大麻取扱指導方針の一部改正」の検討中止と、産業用大麻の道内での普及推進に貴部が先頭に立ち、道庁各部とともに積極的に取り組まれるよう、申し入れます。

北海道産業用大麻(ヘンプ)普及推進ネットワーク 世話人代表
菊地治己(農業活性化研究所代表、前道総研上川農業試験場長、
元ヘンプカー・プロジェクト2011北海道実行委員会委員長)


●なぜ改悪しようという話になったのか?

 これは道庁の当局が話していたものだが、旭川で中学生が大麻所持事件があり、道議会で道庁としてどうなっているのだ!という問い質しがあったからという。このように議会で話題になると、行政当局はなんらかのアクションをせざるをえない。

その一つが、北海道の地方薬事審議会で報告された「青少年の薬物乱用に関するアンケート」の実施と、もう一つが大麻取扱者の指導方針の改正だったのである。それで、北見の特区の事情などお構いなしに指導方針の改正案をまとめたため、大問題となったのである。

公平性と透明性がなく、適正な手続とはとうてい呼べない案件であったため、改悪が一時的に免れたが、適正な手続さえ踏めばよいので、いつまた改悪するか市民がずっと見張っていないとダメなのである。


●北海道の麻産業復活について逆に道議会で話題にすべきである。

 北海道には、100万本の野生大麻がある。この抜き取りと撲滅キャンペーンをしているので、正反対の政策となる麻産業の推進できないという言い訳を行政側がしている。

それであるならば、大麻草の保健衛生上の危害とそのリスクが、どの程度のものなのか?海外と比較してどうなのか?を行政側が調査して明らかにすべきである。
そのようなデータも一切ないのに、取り締まらなければならないというイデオロギー化している。

大麻草は、毒草でなく、有用農作物である。
ヨーロッパ諸国やカナダでできて、なぜ日本でできないのか?本当に謎である。

残念ながら、自分の頭で考えて判断できない頭の悪い方々なので、「方針がないと動けない!」という行政当局の立場を考えると、「北海道麻産業推進条例」のような制度をつくるのが最も望ましい。

そのためにもまずは道議会でこの麻産業について議論するテーマとして取り上げるべきである。

以上


   




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